毎週水曜日の午後に福祉会館分室で開催している、外国にルーツのある子どもための学習支援教室「ひまわり」。大人も子どももお互いを尊重し、居心地の良い場所をつくっている。
(冒頭写真)ひまわりの活動場所、福祉会館分室のあるUR富士見台団地1階にて。
勉強も遊びもあるみんなの居場所
樋口さん(左)とノルウェーから来日して1年が経つマツくん(右)。
「こんにちは!」 放課後になると子どもたちが次々と教室に集まってくる。顔なじみの大人たちと楽しそうに話すのが印象的だ。
学習支援教室「ひまわり」は、2021年9月にスタート。「学習支援を通じて、子どもたちの日本語の理解を深める」「学校以外の居場所として、子どもたちが地域とのつながりをつくる」などの目的を掲げ、毎週水曜日の午後に福祉会館分館で開催している。
現在、社協の「日本語学習支援ボランティア養成講座」を受けた市民を中心に40名以上がボランティアとして活動し、小中学生を中心に20人以上の子どもたちが登録している。
スタート当初からボランティアとして参加する一橋大学3年生の樋口祐煕さんは、
「子どもたち、友人や知り合いに会いに来るのがいつも楽しみです。」
と話す。状況によっては日本語を教える上でむずかしいこともあるが、うまく簡単な言葉に言いかえたり、ジェスチャーやイラストをもちいたりして対応しているのだという。
「子どもたちに日本語のサポートをしたり勉強を教えたりするだけでなく、よく一緒に遊んでいます。日本語で雑談することで、日本での生活になじんでくれたらいいなと思っているんですよ。」
いつも同じ目線で遊んでくれる樋口さんを慕う子どもたちは多いようだ。その姿からは、樋口さん自身がひまわりを楽しんでいる様子が伝わってくる。
「ここでは、世代も興味関心も異なる人たちと話ができます。段々とこの場に愛着が湧くようになってきて、今では自分の居場所にもなっていると思います。」
言葉と文化の壁を越えるために
小学校で日本語支援員をしている友成さんは、学校と連携して、ひまわりが必要な子どもたちに情報を伝えている。
スタート当初からボランティアとして参加し、市内の学校で日本語指導員としても活動する友成 久恵さんは、外国にルーツのある子どもたちの困難さを日々感じているという。
「子どもたちの抱えている困難さはパッと見ただけではわかりません。子どもによって日本語の習熟度はさまざまです。例えば、日常会話は問題なくとも学習に必要な日本語は難しい子もいます。」
節分では豆まき、端午の節句では兜作りをおこなった。
また、言葉の壁だけでなく日本独特の習慣や文化などを理解する壁もあるという。そのため、ひまわりでは月に1回、節分や端午の節句など日本の文化を楽しみながら体験できるようなイベントも開催している。
「学校や家庭以外の居場所を持って多くの人たちと触れあうことで、日本が楽しい場所になってほしいという思いがあります。ありのままの子どもたちを受けいれ、まずは日本語を話したいと思える環境をつくりたいです。」
こうした思いはひまわり全体に共有されており、ボランティアそれぞれが個性を活かして子どもたちと向き合っているという。
長年、外国にルーツのある子どもたちに関わってきた吉村さん(右)。
地域で長年、国際交流のボランティア活動をされている吉村多恵子さんもひまわりに参加している。
「外国にルーツのある子どもたちに関わる中で、友達同士の会話は問題ないのに教科書の日本語を理解するのは至難の業ということを知りました。それ以来何十年、時には同志を得て学習支援に取り組んできましたが、『ひまわり』ができたおかげで多くの仲間たちに出会い、また兄弟のように仲が良い子どもたちに囲まれて楽しく活動しています。」
Takk(ありがとう)!またね!
ひまわりのみんなと「国旗カルタ」で遊ぶマツくん(左)。ノルウェー語の「ありがとう(Takk)」を教えてくれた。
1年前にノルウェーから来日したマツくんは、いまではひまわりの仲間と元気に遊び、すっかり馴染んでいる。
じつは、3月末のこの日はマツくんのお別れ会。1年過ごした日本を離れ、ノルウェーに帰国することになったのだ。
やんちゃなマツくんはみんなに囲まれると終始照れ隠し。でも、最後に「元気でね!」と温かく見送られ、とてもうれしそうだった。
学習支援教室「ひまわり」
社会福祉会館分室(富士見台第一団地内)
毎週水曜日 午後開催
お問合せは国立市ボランティアセンターまで
Instagram @kunitachi.nihongo
Twitter @nihongo_kntc
取材陣にふと浮かんだ疑問、「そもそもボランティアってなんだろう?」。その形を探るべく、取材した方々に「あなたにとってボランティアとはなんですか?」と質問させていただいた。もちろん答えは、百人百様。
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