特集シリーズ「今日も元気で」 2023年7月1日 vol.7

つながりも野菜も一緒に育てる「くにたち陽向菜縁ひなたさいえん」へ、ようこそ!

虫の鳴き声と鳥のさえずりが響くなか、土の匂いと採れたての野菜の香りに包まれる――。「くにたち陽向菜縁(略称:くにひな)」は、生きづらさを抱える方も、しょうがいのある方もない方も、子どもから高齢者まで多世代の市民が集い交流できる「居場所」だ。

(冒頭写真)この日収穫したのは小麦、ニンジン、ニンニク、いちごと盛りだくさん。

いつ来ても大丈夫

麦畑で、白髪のショートカットの女性が収穫した麦を抱えている。
麦畑で、農作業の格好した女性が収穫した麦を抱えて嬉しそうにしている。
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小麦を刈り取り麦束にする明峯さん。豊富な経験をもとに、参加者にそっと寄り添う。

ボランティアの明峯惇子さんは、農園を初期から支え続けてきたひとり。50年にわたり各地で農園づくりに関わってきた彼女は、2021年に社協が農園を開園すると「つながる農園」の理念に共感して参加した。

「食べものはできる限り、自らの手で育てたもの、あるいは相手の見える関係の中で生み出されたものを食べたい。その喜びを多くの人に伝えたい。そして農園は、いつ誰がふらりと参加しても、何かしら体験してもらい、楽しさを見つけられる場所にしたいと思っています。」

農園はジャガイモ1種の栽培からスタートし、今では明峯さんや参加者、社協職員など皆の力により、50種以上の野菜と花を育てている。それぞれ収穫時期が異なる野菜を栽培しているため、来園者はいつ来ても違う体験ができる。

草を堆肥に積む、落ち葉や藁をぬかと合わせて温床をつくる、ポットに種を撒く、苗を定植する、間引く、支柱を立てる、収穫する、といった農作業の基本を皆で一緒に体験できるのが魅力だ。

畑で、収穫した人参とにんにくをそれぞれの手に持って見せている男性。藍染めのようなTシャツを着ている。
収穫して土がついたままのにんにくを両手で持っている。たくましい根っこが生えている。
枝の先に幾つかのつぼみと、白っぽい小さな花が咲いており、モンシロチョウが蜜を吸っている。
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収穫時には「おいしそう!」と歓声があがることも。苦労して世話した野菜が立派に育ち、喜びもひとしお。

農園での時間、自由に過ごして

「まいた種が2週間もすれば、作物の形をして育っている。慣れない手つきで植えたきゅうりに花が咲いた!と喜ぶ。そんな体験を重ねるうちに、いつの間にか作業に夢中になるんです。」

人と話すのは苦手と言っていた人が、植物をはさんである日、隣の人と会話をしている。巨大なトマトやキュウリを見つけて、その場で頬張り、「おいしい!」と思わず笑顔になる。くにひなでは、育てる喜びを自然と分かち合う光景があちこちで見られるという。

「最初はおそるおそる来られる方も、通っているうちにのびやかな表情になってくる。農園は四季の移り変わりを感じられる場所。どんな方にも味わってほしいと思う。身をおいてみると気持ちいいですよ。」

農園は居心地良く過ごせることを大事にしているので、参加者は気分によって、積極的に作業するのも、静かに時間を過ごすのもOK。それぞれの関わり方が尊重される。

畑脇にしつらえられた休憩スペース。天幕があり、ウッドチェアとテーブルがならんでいる。ゆったりと腰掛け 、談笑している様子。

農園の中に設けられた休憩スペース。ここで過ごすのも大事な時間だ。

休憩スペースのテーブルに、野の花たちが飾られ、苺やベリーが置いてある。

テーブルには農園で採れた花が飾られていた。

「つながる農園」を目指して

収穫したジャガイモ、エンドウ、レタス、タマネギ、キュウリ、トマト…そのときどきの旬の野菜は、参加者がお土産として持ち帰る。また福祉会館で出店したり、会館内にある「喫茶わかば」に食材提供したり、フードバンクに寄付したりと様々な形で多くの方に届けている。農園の野菜を食べた方から、「おいしかったよ」と直接声をかけてもらうこともあるそうだ。

2023年には農園の愛称が「くにたち陽向菜縁(略称:くにひな)」に決定。公募で集めたアイディアをもとに参加者で話し合い、「つながる農園」の想いが込められた。

くにひなは、野菜と一緒に、人と人、そして地域とのつながりも育む。虫が鳴き、鳥がさえずるこの自然豊かな農園で、これからも笑顔が溢れますように。

今後は農園活動を一緒に行うボランティアも募集予定。興味がある方は、くにたち社協までぜひお問い合わせください。

くにたち陽向野縁と書かれた農園の看板が畑を背に立っている。

農園の看板は参加者の手づくり。それぞれが得意なことを発揮して関わっている。

みんなで畑の畝の合間に並んで集合写真。収穫した麦や人参などの野菜を手にしている。

くにたち陽向菜縁(略称:くにひな)

多世代、そして多様な背景をもつ市民が一緒に活動できる「つながる農園」を目指して2021年度に開園。

お問合せ先:地域福祉係
042-580-0294
csw@kunitachi-csw.tokyo

instagramのアイコン画像Instagram @kunihina_saien

ボランティアってなんだろう?

取材陣にふと浮かんだ疑問、「そもそもボランティアってなんだろう?」。その形を探るべく、取材した方々に「あなたにとってボランティアとはなんですか?」と質問させていただいた。もちろん答えは、百人百様。

Q.あなたにとってボランティアとは?

農作業着姿の白髪でショートカットの女性が微笑んで、畑に座っている。明峯 惇子さん
「人と自然がつながる農園をサポートすることが喜びです。子どもたちが日常の中でふれられる農園が街のあちこちに増えることが私の夢なんです。」

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