ホームヘルパーは、高齢の方やしょうがいのある方の「その人らしい暮らし」を、地域で支えるお仕事。ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方やステップアップが可能なことも大きな魅力です。知っているようで知らない、介護、介助のお話。
谷保第三公園にて、増田さん(左)と林さん(中央)、岡さん(右)
写真撮影の日はインタビューに応じてくれた岡さんと林さんに加え、増田さんも参加。3人でとても和やかな雰囲気の中、撮影が進んだ。
人と向き合い、視野が広がる
「誰かのためにしてあげたい、お役に立ちたい、と仕事を始めましたが、じつは利用者の方から教えてもらうことも多く、色々な方の支援を通じて新たな自分の発見がありました」
林さんは子育て中にヘルパーの仕事を始めた。介護の仕事に興味を持つきっかけは「10代の頃に家族の介護をしている母の姿を見ていたことなんですよね」と。資格を取り施設で仕事もしていたが、結婚と出産を機に一度仕事から離れていた。
「子どもが幼稚園に通い始めたので、お迎えまでの空いた時間にできる仕事がヘルパーだったんです。好きな時間帯に短時間でも働ける。利用者の方のお宅に訪問するので自転車で走りながら、外出気分も味わえて知らなかった風景にも出会えて。こんなにいい仕事は他にないですよね」と仕事の魅力を熱く語ってくれた。
利用者の方と向き合うことで気づきが得られるのも仕事の楽しさだと話す。初めて育児をする中で「子育ても家事もちゃんとやらなきゃ」と必死だった。利用者の方々との出会いを通して様々な価値観に触れた。「頑張らなくてもいい。決まりなんてないんだな。」と視野が広がり、凝り固まっていた考え方や思いが楽になっていったという。
これに大きく頷くのは、エンジニアから転職してヘルパーになった岡さん。当時仕事を続けるか悩んでいた頃に、初めてボランティアを経験したことが介護の道に進む契機となった。
「定年後も趣味の時間と両立できることがこの仕事の良さ。本当に色んなことを教えてもらっています」と調理支援のエピソードを話してくれた。
体が不自由になったことで主夫になると話す男性利用者と関わったときのこと。「『妻にご馳走したい』と励まれている姿が自分への活力にもなった。支援の中で台所仕事を一緒にしているうちに、私も苦手だった調理に興味を持てるようになって。腕もあがったんですよ」と。
訪問介護の基本は、「住み慣れた住まいでその人のご希望に添いながら、地域でのその人の暮らしを支援する」ことだ。
百人百様の「その人の暮らし」に向き合うことで、利用者の方との間にしっかりとした信頼関係を築くことができる。ときには利用者自身やそのご家族と十数年の長いお付き合いになることも。
「人生の大切な時間を一緒に過ごさせていただいていることはヘルパー冥利につきる。仕事以上に得るものがある。」と話す。
ホームヘルパーの仕事
ホームヘルパー(訪問介護員)は、介護保険法や障害者総合支援法にもとづき、介護・介助を必要としている利用者の方の自宅に訪問し日常生活の支援を行う仕事だ。主に食事や排せつ、入浴、移動、家事の介助などの支援を行う。
例えば介護認定を受けた方に対しては、「日常生活を送る上で何に困っているか」「どう暮らしたいか」「不自由な体であってもできること、できるようになりたいこと」など、ケアマネジャーが利用者の方と相談をしながら具体的なケアプランを作成。
利用者が希望する時間帯に入れるヘルパーがその方の担当となる。岡さんや林さんは事業所に出勤のできる曜日や時間を申請登録している。都合の良い時間帯に仕事を受けることができ、公私のバランスを取りながらヘルパーの仕事を続けられている。
ヘルパーが関わることでご家族の普段の介護・介助の休息になることはもちろん、ときにはご家族からのご相談を受けることも。
「家族よりも話しやすいことってありますよね。ご相談の中にはケアプランに関わることもあるので、必要なことや対応できないことは事業所の担当サービス提供責任者(※ヘルパーの業務について計画書作成や相談、連絡、調整を担う者)に相談、報告をしながらより良い支援につなげていきます」と。
コミュニケーションが得意な人だけが向いているというわけではない。利用者の中にはヘルパーの来る日を楽しみに待ってくれている方もいる。多くの言葉を交わさなくても、何回か訪問するうちにお互いに気心が知れてくることもある。そういうことが自信にもつながっていく。
「もちろん大変なこともあるけれど、事業所のスタッフとすぐ相談できて、しっかりサポートをしてもらえるという安心感の中で仕事ができます」
勉強して仲間づくりも
資格を取るための勉強中、岡さん、林さんは初めて知ることばかりでとても楽しかったという。世代も違う学生同士、それまでにはない友や学びを得たと。
一方で、要介護者の増加とともにヘルパーの人材不足は深刻だ。国立市の要介護者は2022年に3,836人で、2045年には5,350人(約4割増)になるという推計がある。
このままではサービスを受けたい人が受けられない状況が生じかねないという危機感から、くにたち社協では、2022年度からヘルパーを始めるために必要な「介護職員初任者研修」をスタートした。
講習は未経験の方や自身のスキルアップのために受講する方もおり、「講師が社協や施設の職員なのでとてもわかりやすかった」と好評だ。今年度は10月に開講。申込〆切は9月13日(金)17:00まで。(詳細は下部のお知らせを参照)
ヘルパーが身近な存在になって欲しい
林さんからは、「例えば急に野菜が必要になって近所のお店へ買いにいくような、いざというときにヘルパーもご近所にいるのが当たり前になればいいのにって。ヘルパーが隣近所にいるなんて安心ですよね」と思いが溢れ出る。
「誰もが歳を重ねていく中で、不自由さが出てきて、今まで通りの生活ができなくなるかもしれない。介護をすることはお互い様なんですよね。元気なうちはどなたかのお役に立ち、いずれは自分も誰かの手を借りる。だから、ぜひ年齢に関係なく介護について学んでみるといいと思います。いくつになっても勉強することは本当に楽しいことですよ。」と岡さん。
資格を取るか迷う方は、まずはボランティアから始めてみてもいいのでは、と。
やりがいや嬉しかったことなど話題が尽きることはなく、この仕事に誇りをもっているヘルパーの存在が地域を支えていると感じる。社協では、ヘルパーについて今・未来を共に考える「座談会」を7月23日に開催する。興味を持たれた方は、まずは社協へお気軽にご連絡をどうぞ!
「介護職員初任者研修」受講生募集
「国立市内で介護職として働きたい!」「既に市内の施設で働いているがスキルアップをしたい!」など仕事につながることはもちろん、未経験の方でも学びやすい内容です。この機会に介護について学んでみませんか。
【主催】国立市社会福祉協議会
【研修日時】午前9時〜午後4時10分(一部例外あり)
10月2日~12月23日の全23日間(施設での1日実習含む)
【場所】くにたち福祉会館
【費用】10,000円(消費税込み)テキスト代・実習代含む
※市の受講費助成金が受けられる場合あり
https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/soshiki/Dept03/Div01/Sec01/gyomu/0160/10697.html (国立市のページへ)
【定員】12名
【申込締切】2024年9月13日(金)午後5時まで
【申込方法】下記ページにてお申込の詳細をご案内しています。またはお電話や窓口にてお問合せください。
https://www.kunitachi-csw.tokyo/2024/07/4812/
【お問合せ】介護事業係 電話:042-580-1352
「ホームヘルパー」の今・未来について一緒に考えませんか?「座談会」参加者募集
ヘルパーのお仕事について、座談会を開催します。ヘルパーの仕事についてもっと知りたいこと、もっとこうすればヘルパーの魅力を伝えられるのでは、など一緒にお話しませんか?
今回紙面に掲載されたヘルパーさんも参加予定です。
【主催】国立市社会福祉協議会
【日時】2024年7月23日(火)午後2時〜4時
【場所】くにたち福祉会館 3階 中会議室
【参加対象者】どなたでもお気軽にどうぞ
【申込】下記URLより又はお電話で申込ください。
※当日参加も可(人数制限はありません)
https://forms.gle/m7PF1k2DKLYP8c95A
【お問合せ】介護事業係 電話:042-580-1352
【その他】暑い時期となりますので飲み物をご持参ください。
ボランティアに関心のあるかたはこちら
LINEでは、情報提供だけではなく、ボランティアを活動したいかた、ボランティアを探しているかたの登録フォームをご用意しています。ぜひご活用ください。
国立市ボランティアセンター
電話:042-575-3223
メール:kvc@kunitachi-csw.tokyo
・国立市ボランティアセンターFacebookページ
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